2023-01-20 つい毒を吐いてしまう、
子どもの頃から勉強が苦じゃなかったので、大人になってから友人が資格試験のために図書館で勉強をすることに付き合った時にその人が机に向かって3分も起きていられないことに驚いた。勉強しようとするととたんに眠くなってしまうらしい。数時間滞在したが彼の勉強は少しも進まず、私はそんな様子を興味深く見守りつつ、本をもくもくと読み続けた。
このところフランス語の本を読んでいるとすぐに眠くなってしまう。つまらないわけではないのに、3行くらい読むとだんだんぼおっとして起きていられない。
きっと誰かが私を観察していたら不思議で面白いのかもしれない。
19日は公共交通機関のストライキがあったので道路がひどく混んでいた。
ただでさえ近年市内への車の乗り入れが制限されているから、パリではすぐ渋滞ができる。電車もバスも動いていないストライキの日は車移動の人が増えて、道はさらに混み合う。少しでも前に進もうと、信号が変わる直前でも交差点に突っ込んでゆくからどちらの車線も進むことができなくなる。そこになんとか割り込もうと車が斜めに突っ込んで、自転車や通行人まで詰まってしまうことになる。
普段は乗り慣れない人も自転車や電動キックボードに乗るから、交通ルールも信号もあったものではない。歩行者にとっても危ないし、車も立ち往生してさらに渋滞をつくることになる。
鳴り響くクラクション、怒号。みんながイライラしている。イライラするから余計に運転が荒くなる。
そうしてますます渋滞が広がる。
ちょうどペール・ラシェーズの坂を下りきったところで信号無視の電動キックボードに突っ込まれてしまった。
かなりの衝撃だったのでバイクに轢かれたと思った。
キックボードは私がびっくりしている間にすうーっと通り過ぎて行ってしまった。大丈夫?ともごめんねとも言わずに。
腕や服を引っ張って「ごめんくらい言えば」と言えばよかったのだけれど、驚いてどきどきしていたし、やっぱり小心者でもあるので咄嗟に怒ることができなかった。
あとからよく見てみたらスポークが折れて車輪も大きく歪んでしまっていた。
ごめんよ、自転車。
幸いSは自転車を直すためのキットも持っていてたくさん勉強しているから(YouTube先生!)修理してもらえそうなのだけれど、そこでもフランスクオリティに苦しめられて、合わない車輪を買わされてしまったのでまた返品して探し直さなければならない。
「返品して探し直さなければならない」がフランスではどのくらい大変かと言うと、まずは少しさかのぼって、やっとネットで見つけた商品を受け取りに行くところから説明せねばならない。
ネットで「在庫あります」という商品を注文する。
配送は予定通り来ない、もしくはその日一日待たないといけないのでやめて、店舗に取りに行くと選択する。
店舗に行くと商品がない。あった在庫は他の人に売ってしまったのだ。
仕方がないから再度取り寄せてもらうことにする。
取り寄せたよという連絡が来ないので、しびれを切らせて電話してみると、もう商品はとっくに来ていると言う。
ため息をつきながら取りに行く。
商品を引き取り家に持ち帰ると、注文したものとは別のものだったりする。またはちょっと/大いに壊れている。
もう一度返品しに行くと、最初のレシートと引き取ったものとが別のものであることで店員とひともんちゃくある。店員はこちらのことを覚えていないのだった。3日前のことなのに。
なんとか返品し、交換してもらう。
家に帰って取り付けようとすると、付属の部品が足りなかったり、壊れていたり、別の品物の付属品が入っていたりする。
連絡しても返信はもちろんない。
また店舗に行って延々と交渉する。
…で、やっと取り付けたものの、不良品で1ヶ月で壊れてしまったりする。
これが全然大げさなことじゃなくて、年間に何度もあるやりとりなのだ。
Sはライスワークとして修理を請け負うことが多いから、このことにしょっちゅう遭遇する。
ということで自転車はしばらく使えないだろう。
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去年半ばあたりからどうにも気持ちが晴れないのは、誠実に、まじめに生きようとすればするほど割を食う国にいるからなのかもしれない。
どうしてこんな簡単なこともまともにできないのか?と苛立つことに遭遇しすぎる。
真面目に働かないし、うっかりが多すぎるし、人のことを全然考えない。
それなのに自分の権利だけは大声で主張する。
ストライキの権利が保障されることはもちろん賛成だけれど、雇用されているひとたちの権利が大きすぎるとも思う。顧客であるこちらがこんなに困るほどに仕事をする気がなくて、権利だけ主張してサボるだけさぼって、それなのに一生をちゃんと保証されている。うまくやれば病欠や退職金を騙しとれてしまうようなシステムだし。
フランスで今ほんとうに危機に陥っているのは個人事業主だ。ストライキをする暇すらない。